強豪アイルランドから5トライを奪うも惜敗
限りなく勝利に近い戦いを続けたが降格確定
フランス時間の17日、「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2018」が閉幕。11〜12位決定戦でアイルランドと戦った日本は、後半32分のWTBハラトア・ヴァイレアのトライとCTB森勇登のコンバージョンで33—34と1点差に追い上げたが、終了4分前にアイルランドにトライを加えられ、33—39で惜敗。
12チーム中12位となり、来季は下部大会である「ワールドラグビーU20トロフィー」で戦うことになった。
トライ数では上回りながら17—18で1点差負けしたプール最終戦のウェールズ戦。そして、後半30分まで10点をリードしていた状況から終了3分前の逆転トライで2点差(22—24)で敗れたノックアウトステージ初戦のジョージア戦。
いずれも、プール初戦、2戦目で課題だった立ち上がりの時間帯で踏ん張ったことで試合の主導権を握ることに成功。
当然、勝てば残留、負ければ降格というサバイバルマッチとなったアイルランド戦では「ファーストミニッツとファイナルミニッツを課題にしてきたが、今回はファーストミニッツが悪かった。そこで崩れた」(CTB森勇登)と、いきなり前半4分、同10分と、連続トライを許す厳しい展開となってしまう。
「狭いサイドを突かれていたので、あのあたりは分析されていたのかなと感じた。ダブルタックルを狙っていって、そこでスローにできないと、どんどん人が減っていってしまう。そのあたりの修正をしきれなかった。ダブルで食い込まれて、さらに焦りだすとそこに3人目が欲張っていってオーバーラップができてしまった」(今村友基アシスタントコーチ)
おそらくは、日本のディフェンスを研究した上で狭いスペースを縦につないでボールをつないできたアイルランドのアタックを止めきれずに立ち上がりの10分で10点のリードを許した日本だったが、「序盤に2つ取られるかたちになって焦るかと思ったが、そこから立て直したのは立派だった」と遠藤哲ヘッドコーチが選手たちを賞賛したように、ここから試合をもう一度自分たちのペースに引き戻す。
「自分たちの武器、自信を持っている」(FL岡山仙治キャプテン)というラインアウトからのモールを起点に、15分には「スマッシュスイングを合言葉にずっとやってきて、FWでしっかり前に出て、BKで取り切る。相手を振り回す」(同キャプテン)という理想形とも言えるスタイルでWTBハラトア・ヴァイレアがトライ。15分にはドライビングモールをそのまま押し切って同点に。
この後、アイルランドが1PG、1トライ、1ゴールを加えて22−12でハーフタイムへ。
「チームが残した功績=世界と戦う資格は十分にある。
それは証明できた」(遠藤HC)
後半、先に点数が欲しかった日本は、キックオフから積極的にボールを動かし、CTB森のブレイクでチャンスをつかむが、外へのパスが通らず、逆に3分、7分、7分と自陣での反則を繰り返して、3連続PGで12—31と引き離されてしまう。
それでも、後半10分以降、リザーブ選手を積極的に投入して再びリズムを掴み、「今回の試合のために直前に用意したプレー」(今村AC)を決めて、15分、19分とWTBシオサイア・フィフィタ が連続トライ。
いずれも、「22mに入ったらFWがフラットに入っていく。あのスピードは間違いなく今大会でもトップクラス。威力、インパクトあった」というFWのアタックから、内側のスペースに切り札のフィフィタを走らせるもので、完全にアイルランドDFを崩し切った。
32分には、ボールをしっかり支配し続けてフェイズを重ねて、最後はFB山沢京平からWTBヴァイレアとつないでこの試合、日本としては5本目となるトライで1点差に迫ったが、その後のキックオフからアイルランドに攻め込まれて、22m付近のスクラムから左サイドを攻められてアイルランドに4本目のトライを奪われて(後半36分)、そのまま試合終了。
またもトライ数で上回りながらも33—39で惜敗を喫した。
「今日の試合の前半ではディフェンスがガタガタになってしまった。アイルランドがフラットに上げてくるアタックラインに対して、僕らが待ってしまった。僕らが上がればぶつかれるところを止まってしまった」
そうFL岡山仙治キャプテンが振り返ったとおり、立ち上がりにこだわってきた前に出るディフェンスを機能させられなかったことが致命傷となり、「1対1で勝つラグビーというのを突き詰めてきて思ったのは、僕らでもこういう相手に対して1対1で全然負けてないということ」(同キャプテン)と、世界で十分戦える実感を得ながらも惜敗続きのまま、U20チャンピオンシップからの降格が決まった。
「勝つためにチーム全体がどう動くというのをチーム全体が体現してくれた。試合内容も立派だった。選手は出し切ってくれた。
6点差が何を表しているのか。答えは難しいが、ここを勝ち切るチームをつくってきたつもりだし。非常に悔しい。何かが足りなかった。少なくとも、このチームが残した功績として、世界と戦う資格は十分にある。それは証明できた。何らかのかたちで将来の日本のユースにつなげていきたい」(遠藤HC)
世界で十分戦える実感をつかんだ若き選手たちは、19日、日本に帰国した。